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三代続く鎌倉彫の一翆堂

鎌倉彫 塗りの技(約40分)

木内翆岳による鎌倉彫の塗りの技を映像でご紹介します。

鎌倉彫りひとすじに(約30分)

木内翆岳による鎌倉彫の塗りの技を映像でご紹介します。

長野県に生まれた初代・木内翆岳は、20代で鎌倉彫に魅せられ、1938年(昭和13年)に三橋秋峰氏に弟子入りしました。後に佐藤宗岳氏に師事し、1942年(昭和17年)に独立。1955年(昭和30年)に一翆堂を設立しました。娘の小夜子は、家業を手伝ううちに、自然な形で鎌倉彫の道に入りました。同様に三代目となる史子も幼少時より、祖父と母が鎌倉彫に打ち込む様子を見ながら育ちました。やがて自身も彫りを学び、現在は母・小夜子とともに制作に励んでいます。

木内翆岳 Suigaku Kiuchi

鎌倉の地で彫りと塗りを学んだ翆岳は、1942年(昭和17年)、27歳で独立しました。戦時中、鎌倉彫をはじめとする工芸品は需要がなく、厳しい時代でした。しかし戦後徐々に、再び工芸品や手仕事などを楽しむゆとりが生まれてきました。その後、高度経済成長期に入り、カルチャースクールが一大ブームとなって鎌倉彫教室にも人気が集まり、鎌倉彫の認知度も高まりました。

1955年(昭和30年)、一翆堂を設立します。主に盆や皿、茶托などの日用品の制作・販売のほか、鎌倉彫のつくり手のために木地の販売も始めました。やがて自身の作品づくりにも打ち込むようになり、1986年(昭和61年)、生まれ故郷の長野県佐久市に鎌倉彫記念館を設立。縦2m横5mの大作「竹の讃歌」をはじめ、大小さまざまな作品170点あまりを寄贈しました。

躍動感のある大胆な構図と深い陰影を刻む彫りが印象的な作品群は、鎌倉彫を天職とし、情熱的で一途な翆岳の人間性そのままの圧倒的な迫力に満ちています。また、細部のクローズアップをふんだんに盛り込んだ図録やドキュメンタリー動画づくりにも精力的に取り組み、生涯、鎌倉彫の普及に尽力しました。

■ 経歴

1915年(大正4年)
長野県臼田町(現・佐久市)に生まれる
1942年(昭和17年)
師匠・佐藤宗岳より独立
1955年(昭和30年)
鎌倉彫 一翆堂を設立
1972年(昭和47年)
一翆堂画廊を開設
1977年(昭和52年)
一翆会 設立
1979年(昭和54年)
静岡県沼津市に一翆堂鎌倉彫館を開館(2006年に閉館)
1982年(昭和57年)
鎌倉彫伝統工芸士に認定
1986年(昭和61年)
長野県臼田町(現・佐久市)に佐久市鎌倉彫記念館を開館し、作品を寄贈
2008年(平成20年)
2月5日没(92歳)

■ 受賞歴

1987年(昭和62年)
紺綬褒章を受賞

■ 寄贈

鶴岡八幡宮
鎌倉彫資料館
佐久市鎌倉彫記念館
富士山資料館 など

■ 展覧会

1973年
(昭和48年)
鎌倉彫二人展 ※翆岳、小夜子(一翆堂画廊)

ほか  一翆会展 多数

木内 小夜子 Sayoko Kiuchi

小夜子は、店を手伝いながら父・翆岳の薫陶を受けて多くを学びました。

さまざまな展覧会を見たり、娘・史子とともに海外を訪れて各国の文化や芸術に触れたり、といった経験や知見を作品づくりに活かし、現代の暮らしに合うモダンなデザインを数多く手掛けています。

■ 経歴

1947年(昭和22年)
鎌倉に生まれる
1970年(昭和45年)
女子美術短期大学造形科彫塑専攻卒業
鎌倉彫一翆堂にて父・木内翆岳に師事
2008年(平成20年)
一翆堂を継承

■ 受賞歴

1977年(昭和52年)
鎌倉彫創作展 県知事賞受賞
1989年(平成元年)
鎌倉彫創作展 創作大賞受賞

■ 寄贈

伊勢神宮
鶴岡八幡宮 など

■ 展覧会

1973年
(昭和48年)
鎌倉彫二人展 ※翆岳、小夜子(→ 一翆堂画廊)
1984年
(昭和59年)
鎌倉彫海外展ドイツ(ダーレム博物館)
2000年
(平成12年)
現代鎌倉彫コンペティション ‘00展 (神奈川県立近代美術館別館)
2003年
(平成15年)
鎌倉彫 古都の記憶展(神奈川県民ホール)
2008年
(平成20年)
鎌倉彫20人展 -円覚寺の歴史とともに-( 鎌倉 円覚寺)
※以後毎年
2015年
(平成27年)
観〇光 ART EXPO 2015 京都・鎌倉(京都 高台寺、鎌倉 円覚寺)
2016年
(平成28年)
観〇光 ART EXPO 2016 京都・鎌倉(鎌倉 円覚寺)
2017年
(平成29年)
観〇光 ART EXPO 2017 京都・鎌倉(鎌倉 浄智寺)
鎌倉彫三代展 ※翆岳、小夜子、史子 (鎌倉生涯学習センターギャラリー)
2018年
(平成30年)
観〇光 ART EXPO 2018 京都・鎌倉(鎌倉 円覚寺)
暮らしの中の鎌倉彫展(GALLERY一翆堂)

ほか  一翆会展 多数

小夜子の作品はこちらから

木内 史子 Fumiko Kiuchi

史子は、祖父・翆岳と母・小夜子の二人から教えを受けました。

20代で茶道に出合い、茶道や日々の暮らしの中で使って楽しめる作品の制作を心がけています。自分らしさを活かし、今の時代にマッチしたデザインで、国内はもとより、海外でも広く親しんでいただけるような鎌倉彫を目指しています。

■ 経歴

1977年(昭和52年)
鎌倉に生まれる
1999年(平成11年)
女子美術短期大学造形科彫塑専攻卒業
2001年(平成13年)
女子美術短期大学造形科彫塑研究生卒業
鎌倉彫一翆堂にて祖父・木内翆岳、母・木内小夜子に師事

■ 受賞歴

2004年(平成16年)
鎌倉彫創作展 鎌倉市長賞
2005年(平成17年)
鎌倉彫創作展 大樹賞 ※2006、13、14年にも受賞
鎌倉彫創作展 漆賞 ※2007年にも受賞
2015年(平成27年)
平成27年度全国伝統的工芸品公募展入選
2018年(平成30年)
鎌倉彫創作展 鎌倉商工会議所会頭賞

■ 寄贈

在フランス日本国大使館 など

■ 展覧会

2000年
(平成12年)
現代鎌倉彫コンペティション ‘00展 (神奈川県立近代美術館別館)
2003年
(平成15年)
鎌倉彫 古都の記憶展(神奈川県民ホール)
鎌倉彫創作展( 鎌倉彫工芸館) ※以後毎年
2004年
(平成16年)
和くらし大好き 輝け若手女性職人展( 伝統工芸青山スクエア) ※以降毎年。2014年より名称変更
2008年
(平成20年)
鎌倉彫20人展 -円覚寺の歴史とともに-( 鎌倉 円覚寺) ※以後毎年
田中隆史・木内史子 陶と漆の茶道具( GALLERY一翆堂) ※2010、12、14年にも開催
2013年
(平成25年)
和くらし大好き 集まれ女匠衆展(伝統工芸青山スクエア) ※以後毎年
2015年
(平成27年)
鎌倉彫 燈展(横浜三渓園、GALLERY一翆堂)
鎌倉彫を考える会 箱展(鎌倉 東慶寺)
2017年
(平成29年)
鎌倉彫三代展 ※翆岳、小夜子、史子
(鎌倉生涯学習センターギャラリー)
2018年
(平成30年)
暮らしの中の鎌倉彫展(GALLERY一翆堂)
西方寺-木金土-三人展(西巣鴨西方寺)

ほか  一翆会展 多数

史子の作品はこちらから